今、価値観の転換期を迎えている日本の【婚活】。
本記事で取り上げたいのは、ここ数年で頭角を現している【尊敬婚】です。
結婚に対しての意識は、世相に合わせて変質していきます。
例えば過去には【女性の収入を男性が上回る】ことが好まれ、現在もこの傾向は消えていません。
しかし一方で 【女性側が男性ととんとん、もしくはそれ以上の収入でも問題ない】と考える男性は、全体の60%以上にのぼるといいます。
女性の収入に寛容な考え方は、年齢が低い世代ほど高く、ここ数年表立ってきた意見のようです。
その流れの中で数を増やしているのが、結婚に漕ぎつけたカップルにおいて、女性の収入が男性を上回っているケース。
嫉妬や僻みなどはなく、男性が女性に敬意をもつため【尊敬婚】と名づけられました。
歳に関しては、男女どちらが年嵩のパターンもあるようです。
社会における【有能】さが鍵
尊敬婚においてウェイトを占めるのは、社会的な女性の価値。
これまで重要だった家事・炊事の能力ではなく、職場での有能さ、それに伴う収入に【尊敬】が生まれるわけです。
少し前、複数の医学部で故意に女性合格者を減らしていたことが発覚し、ニュースでも大きく取り上げられました。
しかし現実として、女性医師が結婚や子育てを理由に退職するケースは多いものです。
親世代や保育園・福祉などのサポートを受けて退職をしない人もいます。
ただ親世代の年齢的な問題で子育てに関わるのが難しかったり、既に逝去している場合、サポートの対象外であるなど、助けを得られない状況も少なくないです。
いっぽうで尊敬婚をした夫婦は、男性側が家事・育児に労力や時間を割く割合が高いといわれています。
例えば、37の女性医師Aさんも、そんな尊敬婚を選んだ一人。
Aさんのパートナーは公務員のBさんという男性です。
大学病院勤務のAさんの収入はパートナーの二倍以上ですが、その分、オペや当直・論文の執筆など仕事は多岐に渡り、時間も多くとられます。
彼女の仕事量からすると、退職せずに家事や炊事を負担するのはほぼ不可能です。
ただ、Aさんは自らの職に誇りを持っており、生涯従事すると決めていました。
そんなAさんのパートナーBさんは、公務員のため仕事時間はきっちり提示終了です。
保育園にいる我が子を18時に引き取りに行けるうえ、料理も得意。
専業ではありませんが、積極的に炊事や育児をこなしてくれるパートナーの存在により、仕事をセーブせずにいられるといいます。
そういえば近年、子供の送り迎えをしたり、仕事帰りにお買い物をしているパパ、多くなっていると思いませんか?
尊敬婚という概念の有無
結婚の意識改革は進んでいるものの、古い価値観が残っているのも事実です。
働いているにも関わらず、女性が家事や炊事まで担うのが当たり前と男女共に思い込むことで、女性のタスクは増えるばかりになります。
尊敬婚であれば、夫婦での家事分担は普通であり、男性側が全般を請け負うことも選択肢の一つです。
自分の数倍の稼ぎがあり拘束時間も長い奥様に、家事炊事一式を任せるのはおかしいと、普通なら気づくでしょう。
若い世代では尊敬婚も普通になりつつあります。
しかし年齢が高くなるほど、男性が家事を担うことへの嫌悪感や、男子厨房に立ち入らずといった感覚が強くなる傾向も否めません。
尊敬婚にはプレゼンが必要
広まりつつあるとはいえ、尊敬婚を念頭に置いて婚活をする女性は10%程度といいます。
つまり大部分の女性は【同程度の収入】もしくは【自分以上の収入】を男性に求めるのです。
しかしこの条件だと、最初の段階で相当お相手が絞られます。
年下、同年代は特に厳しくなり、出逢うのは年上の男性が圧倒的に多くなるでしょう。
次に男性側ですが、【同程度の収入】もしくは【自分以上の収入】の女性をマッチングの対象内にしているとします。
ただ、たいていの場合、婚活初期の男性は若い女性を希望します。
こうなると、上記のような37歳の女性と、39歳の男性のカップルが成立することは極めて稀です。
39歳程度の男性でそこそこ収入があると、20代後半に入る程度の女性を希望する例が少なくありませんからね。
こういった婚活の実態を目の当たりにして「若い子ばかりがマッチング候補になっていて理不尽」と腹を立てるのはナンセンスです。
事実ではあるので、これは容認する他ありません。
そしてきちんと現実を飲み下した女性は「自分がマッチングできる方法を考えないと」と方向転換できるはずです。
方向転換が出来たら、次に頭に入れたいのが「20代後半に入った女性は受け身ではいけない」ということ。
尊敬婚を望むらなら、必要になるのは自分をプレゼンしていく力です。
自ら積極的に、男性にアピールしていく必要があります。
貴女はどのようなライフスタイルを望んでいるのか、どれだけの収入があるのか。
それをぼかさずに明示していくことで、男性側の敬う気持ちを引き出しやすくなるのです。
敬ってもらうための要素は、なにも高給取りであることや、一般的に地位が高く思われる医師などの職だけではありません。
社会や仕事という枠組みの中で【有能】であるということは、様々な方法や角度から男性に示すことが可能なのです。
年金・預貯金などに期待できないのに[頼れる]女性とは
あるひとつのケースから、プレゼンの重要性を見ていきましょう。
お付き合いをしているカップルがいて、女性は42歳のCさん、男性は49歳のDさんといいます。
Dさんは公務員なので、仕事仲間や、その配偶者の年金が把握できます。
もちろん自分の年金や退職金も頭に入っている。
対してCさんは、少し前まで芸術系の職場にいました。
芸術から離れた後は整体師として働きだしたため、貯金・預金はほぼゼロです。
また社会保険への加入年数が少なく、将来的な年金は月額で5万円程度。
交際が始まってから、DさんはCさんに退職金の額を尋ねたそうです。
Cさんは、そもそも退職金という概念に乏しかったようで、ありのまま「退職金はない」と答えました。
すると逆に【退職金がない】という発想のなかったDさんは、驚きと同時に、かなり気落ちしてしまったといいます。
ショックを受けているDさんを目の当たりにして、Cさん自身も落ち込んだそうです。
私と結婚することは結構なリスクなのだな、と悟ったためでした。
ただ、Dさんからすぐに「別れよう」とはいわれなかったそうです。
そのためCさんは、年金や退職金といった部分以外で、自分をプレゼンすることにしました。
例えば、整体師には【定年退職】がなく、年齢を重ねても継続勤務が可能なこと。
また仕事をしている限りは、多額の年金を受け取る必要もない点。
整体は老若男女どの層からも需要のあるものなので、様々な働き方を検討することができますよね。
こういった具体的な計画をプレゼンすることが、なにより重要でしょう。
ようは「お金がきちんと入る」こと、自分は一定以上に「有能」であることをアピールするのです。
女性を養うという意識の転換期
地道なプレゼンを繰り返した結果、DさんはCさんをかなり頼もしい存在と認識してくれているそうです。
さて、このケースから読み取れる事実がひとつあります。
それは男性の価値観が昔と異なっていること。
少し前まで男性が大黒柱となり、女性や子供の生活基盤を作っていました。
しかしDさんの様子からは、彼にそもそも、大黒柱という概念が存在していないということが分かります。
Cさんには当然、自分と同じく年金や預貯金、退職金があると疑っていない。
つまり【同程度の稼ぎ】の相手と夫婦になるものと信じているわけです。
婚活に携わっていると、婚活界隈の価値観や流れが、世の中全体より一歩二歩進んでいることが分かります。
その流れに添った形が、上記の女性医師と公務員カップルのような尊敬婚なのです。
Cさんには年金や退職金という後ろ盾こそありませんでしたが、働き方やライフスタイルについてのプレゼンは、具体的かつ積極的に行いました。
その結果、DさんはCさんに敬意をもち、共同して生活を営んでいく意欲を育むまでに至ったのです。
また整体師…接客という仕事柄、Cさんは美容にとても敏感。
仕事で外出し、多くの人と接していれば、自然と美意識が高まって美しさを保てる、といったプレゼンも欠かしませんでした。
妻は女性として枯れずに、美しく咲いている。
そう感じてもらうために、年相応よりやや明るめのファッションも取り入れているそうです。
稼ぐ女性に妥協はいらない
一昔前の価値観でいえば、結婚した女性が家庭の外に出ることや、社会の中で地位を確立することは必要とされませんでした。
就職経験のない専業主務も大勢いましたから、そのお母さんから、仕事や現代での結婚に関して助言を貰うのは現実的ではありません。
そんな状況だからこそ、結婚に関する価値観の転換期を、今迎えるべきなのです。
手に職をつけて仕事をこなしている女性は、妥協してはいけません。
仕事をセーブしたり、男性より後ろにいなくていいのです。
あなたの人生を今以上に充実させられるような、そんな伴侶を手に入れるべきでしょう。
結婚して負担が増えた、ではなく、のびのびできるようになるのが理想です。
おいしい料理で男性を惹きつける…これはもう必要ありません。
料理を振るまうにしても時々で充分じゃないでしょうか。
貴女に「どうしても食べたいメニュー」が浮かんだときだけキッチンに立つのでもいいですし、何ならパートナーにリクエストしてもいいと思います。
つまり生活の軸には、常に自分自信を置けばいいということです。
伴侶に欲するものは日々から生まれる
現代社会において、結婚は選択肢のひとつに過ぎません。
しかし結婚願望があるのなら、
・どうして結婚を選ぼうとしているのか
・伴侶を得たい理由は何か
・求めているのはどんな伴侶なのか
これらを明確にしておくべきです。
伴侶について考えるときは、自分が【不満に感じたこと】【苦に感じたこと】を、日々書き出したりメモしたりしてみてください。
・食料品をまとめ買いしたら重くて運ぶのが大変だった
・遠出をしたいけど、友人とスケジュールが合わない
思ったことをただ書けばいいので、こんな感じでOKです。
普段どんなことにマイナスの感情をもっているかは、貴女のライフスタイル上で【満たされていない】部分に直結しています。
そして満たされていないものこそ、伴侶に補って欲しい部分なのです。
まとめ買いの例であれば、家事や買い物を担う・折半してくれる伴侶を欲している。
遠出の例なら、スケジュールに融通がきいたり、休暇が取りやすい人を伴侶にすると不満が解消されやすいでしょう。
貴女のライフスタイルに適合する人こそが、貴女の求める伴侶になり得るのです。
というわけで、婚活の際には、男性に対してバンバン自分のことを話すことをお勧めします。
貴女がどんな人で、どんなライフスタイルを確立しているのか。
それを明示した上で、お相手男性にも同じことを尋ねてみましょう。
生活する上で、生きていくうえで、伴侶に求めるものは何なのか。
貴女自身の心に問いかけるとともに、男性側とも積極的に話し合い・触れあっていけば、自然とそれが見えてくることでしょう。